枕草子にあるように、春のもっとも良い情景とされる明け方の景。
昨夜の月の光の中、桜を眺めたことを思い出しつつ。
昼下がり、陽光に包まれた庭先に咲く立葵の花。その間をゆったりと蝶が舞う。そんな白昼夢のような光景を作品にしたかった。赤と黒のシルエット、連続と断切の構成はエリック・サティ作曲、三つのジムノペディのスローなリズムを思いながら制作した。
秋の空に、蝶達が優雅に舞う。
まるで古えの貴族達が昔を懐かしむように。
冬の日、窓から覗く雪の庭。全てが白く覆われるなか、椿の赤がより美しさを増す。
冬ならではの美を感じ、絵にした。
年ごとに花は咲き、やがて種子となり、次なる命を繋いできた生命の永い歴史。広大なる宇宙の中で、一つまた一つと誕生する生命の神秘と歓喜を仏教思想における輪廻転生の概念と重ねて象徴的に表現しようと思った。