画伯の祖母は、吉永小百合の主演でNHKで二度も紹介され昨年は高島屋の光子展で一躍脚光をあびた、かの有名なクーデンホーフ光子である。憲法制定後間もない明治の御世にオーストリア・ハンガリー帝国の駐日代理大使としてやってきたハインリッヒ・クーデンホーフ伯爵と当時では考えられないような国際結婚をして、俗説ではあるが後にゲラン社の香水ミツコの名前の由来となったほど当時のヨーロッパの社交界で花と謳われ話題になった人である。
そしてその息子リヒャルトは、パン・ヨーロッパ運動の提唱者として今日のEUの思想的淵源になった人である。戦後欧州の平和に尽くした人に贈られる、欧州平和賞とみなされるカール賞の第一回受賞者になったのをはじめ、その功績に対して数々の勲章を授与された。当時は夢物語と思われていたヨーロッパの通貨統合ならびに政治的合体が世界平和のために必須であることをを誰よりも早く構想し、その実現に向けて生涯をかけて努力した人である。光子は本当にすばらしい息子を持ったものである。そのため光子は、「ヨーロッパの母」といわれたことがあったほどである。
今日、勢力をつけてきたEUの存在感は、将来アメリカと拮抗する勢力として益々重みを増しているが、このEUの成立になんと日本人が関係していたとは、歴史の壮大なロマンを感じざるを得ない。
「バルコニーの光子」
油彩画 15号
「リヒャルト・クーデンホーフ=
カレルギー」油彩画 12号